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ペンに使われる塗装について 

ここではペンの塗装についての解説と、キリタが塗装をお願いしている千代田塗装さんのご紹介をページを変えてしていきたいと思います。

塗装とは塗料を塗ることなので、塗装の解説をすると言うことは、当然、塗料の説明をし、塗り方の説明をすると言うことになります。

先ず塗料についてですが、真鍮製のペンの塗装に使われる塗料は、アクリルラッカー塗料です。

と言ってもよく分からないので、塗料の構成と種類から順番に説明していきますね。

塗料は、大きく分けて、顔料+樹脂+溶剤でできています。
さらに必要に応じて、さび止めやマット剤などの添加剤が加えられます。

樹脂とは、塗膜が固まる元になる成分です。つまりドロドロしている塗料の主成分で、例えば壁に塗料を塗った時に、乾いた後に壁に付着して残る塗料の本体ですね。

昔は植物などから取った天然の樹脂が使われていましたが、現在ではほとんどが石油から作られる合成の樹脂で、この樹脂の特徴が耐候性や柔軟性、耐水性などの塗膜性能を決定づけます。

アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などがあり、それぞれ構造と性質が異なります。

塗料の違いを一言で言えば樹脂の違いということになります。

アクリルは、最近では水槽にも使われる透明で丈夫なプラスチックで、ホームセンターでも工作用に板とか棒の形で売られています。

どうして他の樹脂でなくアクリル樹脂をペンの塗装に選択したのかは塗装屋さんの判断と言うことになりますが、真鍮の上に良く付いて、きれいな色が出て、丈夫で、扱いやすいという点で、アクリル樹脂が1番適していたのでしょう。

溶剤とは、樹脂の希釈に使用されるもので、要するに薄め液で、これ自体は蒸発して塗膜とはなりません。

例えば壁に塗料を塗った場合では、溶剤が蒸発して樹脂が固まって、ペンキが乾いた、となる訳ですね。

この溶剤に水を使うと水性塗料、油系のものを使うと油性塗料になり、ラッカーを使うとラッカー塗料という事になります。

ラッカーとはWikiによると、「ナフサ、キシレン、トルエン、アセトンなど揮発性の高い溶媒に樹脂を溶かしたものを指す」とあります。
要するに水や油でない、速く乾く薬品の薄め液ということでしょうか。

顔料とは鉱物等から作られている色の元です。赤の顔料、青の顔料など、顔料の色が塗料の色になります。

顔料を入れなければ樹脂の色の塗料になります。透明な樹脂を使えばクリア塗料になります。

つまり真鍮ペン用のアクリルラッカー塗料とは、溶剤にラッカーを使い、樹脂にアクリルを使った塗料と言うことになります。


ここからは、塗装の方法について、一般的な分類と、ペンに使われる塗装方法について解説していきます。

ごく一般的に言えば、塗装をするには@刷毛・ローラーで塗る、Aスプレーで吹く、B塗料のバケツに漬け込むという3種類の方法があります。

このうち刷毛で塗る方法については、家屋などへの塗装に使われる以外、工業製品への塗装に使われることはまずありません。

また漬け込み塗装については、スプレーでは吹ききれない大きな製品や、相当以上の数量を連続して塗装したい場合に使われます。

これは、スプレーを使う時に比べ大量の塗料が要る、槽の洗浄などが大変なため一度設置したら連続で槽を使い続けたい、などのためです。

よって、ペンなどの小物の塗装にはスプレー噴きが一般的に使われます。

また、スプレー噴きには、通常のスプレー噴きの他に、塗料に電気を通して付着させる静電塗装があり、状況によって使い分けられています。

漬け込み塗装にも、通常漬け込みと電着の2方法がありますが、電着塗装(カチオン塗装)については、メッキ編であらためて紹介します。

また、乾燥に紫外線を使うUV塗装などもありますが、やはり割愛します。

では、ペンなどに使われるスプレー方式での塗装についてと、静電の仕組みを手順を追って解説していきます。

例としてキリタが塗装を依頼している千代田塗装工業さんにおいて実際に行われている塗装の手順を追って、解説していきます。

キリタから送られた真鍮の部品は、先ず塗装前の下処理工程に廻されます。

真鍮の部品は、切断・切削時に油を使いますので、まずトリクレンという薬品の入った水槽に漬けて脱脂をします。

千代田塗装

次にクロム酸を主成分とした処理液の水槽に漬けて、製品を浸食させ、表面に酸化皮膜を作ります。これによって塗装の密着性が向上します。

千代田塗装

最近では公害問題等のため、6価クロムを使った従来のクロム酸液は使用せず、ノンクロムの酸液を使用しているそうです。

ここまでが川越工場で行う下処理で、その後いったん水洗いをして、川越工場と板橋工場の塗装の現場に持ち込まれます。

千代田塗装では、小さな部品は板橋工場の手吹きの現場で、本体軸はベルトコンベアラインを使った川越の静電設備の現場で塗装しています。


先ずは手吹きによる塗装作業の解説をします。

手吹きは、文字通りエアーガンを使って手作業で塗る方法ですが、ここでのポイントは冶具になります。

手吹きの場合、製品を一つ一つ手で持って塗装したら、手にも塗料が付いてしまうし、逆に手で触れている部分は塗れません。

台に置いても、底面は塗れないし、裏側に回って反対側を塗るのも大変です。それに能率も悪すぎます。

そこで、数多くの部品を一度に並べ、かつ接地面の無いように空中に浮かせる道具が必要になります。そういった道具のことを冶具と言います。

手吹きの塗装に使われる冶具は松葉と呼ばれ、鉄の棒の表面に、文字通り2つに分かれた松葉の針が、規則正しくずらりと並んだ形をしています。これはメッキにも使われます。

ペンに使われる部品のほとんどは筒状の形をしています。そこで2つに分かれた松葉の針(実際は細い棒)をちょっとつぼめて部品の筒に通して手を離すと、棒の突っ張りで部品が冶具に固定されます。
(途中が曲がった1本の細い棒を使う場合もあります。)

鉄の棒にずらりと付いた松葉に、部品をどんどんつけていけば、棒状に部品が鈴なりに付いたモノが出来上がります。

千代田塗装

その棒を手に持ってガン吹きをすれば、多くの部品を一度に塗装できます。
棒をひっくり返せば、裏側も続けて塗れます。

針が接している部分は筒の内側なので、部品の表面にはむら無く塗装をすることができます。

これが、冶具を使った手吹きの工程で、ペンでは本体軸以外の小物は大抵この方法で塗装されます。

千代田塗装


松葉を使った手吹き塗装は、小さな部品の塗装に良く使われますが、ペン本体軸の塗装には、多くの場合ベルトコンベアのラインを使った静電塗装が使われます。

ここで使われるベルトコンベアは、循環式でぐるぐると回っていて、コンベアに乗せた製品は、移動中に何工程もの塗装がなされ、ぐるっと回って帰ってくると、塗装が完了しています。

1周分のコンベア上には、ペンの本体軸の筒を刺して固定するための冶具がずらりと並んでいます。

この冶具は松葉状にはなってはおらず、1本の棒の左右の脇から細い針金が出ていて、棒に刺した筒を固定するようになっています。

この棒がコンベアのライン一周上に1350個ほど並んで立っており、その1個1個もまたぐるぐる回転してむら無く塗れるようになっています。

千代田塗装

ラインは2つの部屋を跨いで設置されており、第1の部屋で冶具にペン本体が刺され、壁の穴を通って第2の部屋へと流れていきます。

第2の部屋に流れてきた本体軸には、以下のような順番で塗装と焼付け乾燥が為されていきます。

1)プライマ(下塗り剤)の吹きつけ
2)1回目の塗装吹きつけ
3)高温なドームを通って焼き付け乾燥
4)次の塗装まで少し距離を取って冷まし
5)2回目の塗装吹きつけ
6)クリア塗装の吹きつけ
7)高温なドームを通って焼き付け乾燥
8)第1の部屋に戻るで少し距離を取って冷まし

これらの工程を経て、ラインは壁の穴を通り、第1の部屋に戻ってきます。
戻ってきた本体軸は、冶具の棒から抜き取られて次の工程に廻されます。

千代田塗装

ラインを1周する間に4つのエアーガンによる吹きつけが行われますが、吹きつけの内容はその製品によって色々と変わります。

下塗りをしないで、空気だけを吹いてほこり取りをしたり、色の塗装を1回塗りにしてクリアを1噴き+パール剤を1噴きしたりと、その都度組み替えられます。

千代田塗装

明るい色を塗装する時は、生地の素材の色が透けてしまい、狙った色が出にくい事があります。そこで、1回目の塗装で白色を塗り、2回目の塗装で狙った色を塗ったりもします。

プライマと呼ばれる下塗り剤は、密着性の弱い素材に塗装をする時に、本塗装の前に使われます。

通常は無色ですが、状況によって色のついたプライマを使うこともあります。プライマを塗ると、その後に塗る塗料の密着が良くなり塗装が剥がれにくくなります。

ただそれでも、使用状況によっては、どうしても使用していくうちに塗装が段々剥がれてくることもあります。

そこで必要に応じて、より密着を強くし、塗装の剥がれが無いようにするために、千代田さんに素材を入れる前にメッキ屋さんで黒クロームメッキを付ける事もあります。

コストは上がりますので、顧客との相談ではありますが、プライマ塗りよりもより強力に塗装の密着性が上がります。

千代田塗装

千代田塗装工業のベルトコンベアラインでは静電塗装が行われており、使われるスプレーガンには、静電発生装置がついています。

静電塗装のおおまかな仕組みは、静電気(マイナスイオン)を帯びた塗料を吹き付けることによって、対象物は自然とプラス極になり、電機の結合佐用で塗料が対象物に吸い寄せられ密着すると言うものです。

千代田塗装

スプレーガンに30000ボルト〜150000ボルトの高電圧を掛けると、スプレーガンが帯電し、さらにその周辺の空気が磁場を作ります。

すると、そこを通って噴射される塗料もマイナスに帯電し、その状態で対象物に向かって飛んでいきます。

そうすると対象物は自然とプラス極となり、塗料を引きつけ付着するのですが、対象物全体がプラスとなるため、塗料は対象物の正面だけでなく、反対側まで回り込んで飛んでいき全体に付着します。

塗装するものの裏側まで廻りこみ、片側だけから吹いても全周を塗装することが出来るのです。

元々冶具の回転で本体軸も回っているので、静電効果と合わせると、全体をむら無く塗ることができます。

ガンで塗料を霧化するのには、高圧空気をと一緒に吹く方法や、塗料そのものを高温化するエアレス方式などがありますが、状況によって使い分けているようです。

千代田塗装

ベルトコンベアラインでは壁を背にしてスプレーで塗料を吹き付けるのですが、その壁では作業中常時水が上から滝のように落ちていて、環流するようになっています。

吹き付けられた塗料のうち、対象物に当たらなかった分は、滝の水に当たって流れ落ちていくようになっています。

水は環流していますが、環境と設備自身を守るために、浄化装置を通しています。

コンベアの塗装場は室内が高温になり、塗料の霧も舞っているため、機械のセットをし、製品が流れ始めた後は無人で作業が行われます。

スプレーガンは自動で首振り動作や、噴霧・停止を繰り返し、作業員は隣室で流れるコンベアを前にペンの本体軸を冶具に刺して送り出し、帰ってきた本体を冶具から取り外していきます。

千代田塗装


塗装上がりの本体軸は、通常品の場合はある程度の数量がまとまると検査室に運ばれ、検査後出荷となります。

それに対して発注社から特に依頼のあった高級品については、そこからさらに「研ぎ出し」という1工程手を加えて、ツヤ出しを行います。

ベルトコンベアのラインで色の塗装とクリア塗装まで施されたペンの本体軸に対し、そのクリア塗装の表面を磨き上げることによってさらにツヤ出しをするのが「研ぎ出し」工程です。

千代田塗装さんに塗装をお願いしているキリタのオリジナル製品では、全ての製品でこの研ぎ出しを行っています。

単に艶が出ると言うだけでなく、クリアの表面が均一で滑らかになり、とろっとした柔らかい風合いになります。

作業方法としては、まず卓上モーターにペンの本体軸を刺すための棒を取り付けます。

その棒にはセロテープをぐるぐる巻いて、本体軸がぬっくりと刺さるように太さを調節します。

本体軸を棒に刺してモーターを回転させ、ぐるぐる回る本体軸の表面にサンドペーパー(紙ヤスリ)を当てて表面をなぞっていきます。

千代田塗装

紙ヤスリを掛けると表面がザラザラになるんじゃないかと思われがちですが、使用するのは非常に目の細かい1500番のヤスリで、ここまで細かいと擦った表面は逆につるつるになります。

千代田塗装

コンベアによる静電塗装が自動の塗装工程なのに対し、この研ぎ出し工程は完全に1本1本の手作業です。

そのため単価はかなり上がりますが、クリアの表面がとろっとして指に吸い付く感じが高級感を醸し出します。


ペン塗装の千代田塗装工業所



 

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