ケーファー開発秘話・開発遍13

ケーファー開発秘話・開発遍13>

とにかく言い合っていても話は進まないので、メッキが上がっているものは選別をし、次回のメッキ時からはコストが多少上がっても良いから研磨を入念にして貰うことにしました。

そして数ヶ月後に次のロットが上がってきたのですが、まだあまり良くないのです。

磨きを入念にやっている分、確かに前回よりは良くなっているのですが、まだ全数検査無しで流せるレベルには達していないのです。

再び各工程の職人に聞き取りをすると、磨きの業者から、どうも磨き前の生地の段階で肌荒れがひどいから、これ以上は綺麗にならないとの意見が出てきました。

そこで、キャストの成型業者に事情を説明し、キャストの肌をもう少し綺麗にできないかと相談したら、次回生産時には圧力や時間を工夫して貰うことになりました。

そしてさらに数ヶ月後、次の生産を行うことになり、キャスト業者にはよくよく綺麗に上げてもらうよう念を押し、作業をしてもらいました。

本来なら成型上がりで検査を入れたいのですが、キャストの成型上がりというのは磨かないとその肌の出来映えが分かりにくいのです。

成型時には何十キロもある型を成型器にセットして、ドロドロに溶けた材料を流します。

納入品を取る前には、型と機械の調子を出して安定するまで、数百から千個程度は捨て打ちもしなければなりません。

ですから、数個だけ打ってみて磨いて見る訳にはいかず、一度セットしたらある程度の数量は作ってしまいます。

結局注文数は全て打って貰い、研磨屋に持ち込んだのですが、研磨屋が磨いて見て曰く「まだあまり良くない」とのこと。