金属挽き物加工の21(最終回)

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最後にNC旋盤の自動旋盤との違いを説明して、この連載を終了します。

カム式自動旋盤の場合は、メインの軸が一回転する1サイクルの間に、全ての行程を終わらせるため時間に制約があり、あまり多くの行程や刃物を投入することができませんでした。

その点NC旋盤では1サイクルの時間を数値で設定できるため、時間的制限がなく、サーボモーターを使った刃物の自由自在な動きで、複雑な形状も時間をかけて削って行くことができます。

そのため使う刃物の数も自動盤より多く設置することも可能で、ドリルやフライスなどの刃物ツールの方を回転させる事もできます。

常に材料を回転させる自動旋盤だと左右対称の物しか削ることができないのですが、NCでは一旦主軸の回転を止めて、ドリルやフライスで横穴を空けたり側面だけを削ったりする事もできます。

またNCの、刃物の動きと主軸の回転を自在に制御することによって可能になった削り方の1つにチェーシングがあります。

これは先述したタップ・ダイスを使わないネジの切り方で、材料に刃物を当てた状態から、刃物を横に引く速度と、主軸の速度を合わせることによってネジを切る方法です。

このようにNC旋盤では、従来の自動旋盤ではできなかったかなり複雑な形状の部品を、2次加工を行うことなく製作できます。

複雑な形状も削れて24時間運転にも対応するNC旋盤は、今では完全に自動旋盤から置き換わり、挽き物業者のメインの旋盤となっています。
(キリタでは今でも自動旋盤も動いていますが。)

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この記事は2011年10月初掲 名入れボールペンの【ペン工房キリタ】