クロス社についての6

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1993年に創業者の名前を取った”タウンゼント”を発表したものの、その頃からいくつかの要因が重なり、クロスの業績は下降していきました。

まずその背景には、他のペンメーカーも同じ条件ではありますが、パソコンの普及による筆記具需要の減少があります。

そしてその需要減少を見越して進出した、筆記具以外の分野のビジネスも、結局クロスの足を引っ張りました。

ボス兄弟は1983年に、旅行鞄やハンドバッグなどの革製品を扱うマーククロスという会社を買収し、それを皮切りにアクセサリー、時計など複数の会社を買収。筆記具以外の小物分野に進出しました。

さらにIBMと提携してパソコンと連動した入力装置を開発。クロスパッドの名前で発売しましたが、こちらは結局普及することなく、莫大な資金を使ったあげくに挫折しました。

crosspad

こういった筆記具以外のビジネスに注力している間に、ヨーロッパの万年筆ブランドが復権してきて、細身のボールペンを主力とし万年筆を持たないクロスのシェアは、じりじりと下がってきました。

そして遂に1999年、デービッド・G・ウェイレンが社長兼最高経営責任者に就任。ラッセルとブラッドフォードのボス兄弟は会長に退くことで長いボス家による独占的支配が終了します。

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この記事は2011年12月初掲 名入れボールペンの【ペン工房キリタ】