ベークライトとペンについて その11

ベークライトとペンについて その11>

轆轤(ろくろ)で直接刃物を当てる技術の白眉は外径へのネジ切りです。

普通はダイスというネジ切り用の工具を使いますが、轆轤では鋸のようなギザギザのついたバイトを直接手で当ててネジを切ってしまいます。

NC旋盤なら刃物の動きと材料の回転を制御して一般的に行われている方法ですが、それを手でやるのは実に見事な物です。

実は私も随分以前にテレビで見ただけなのですが、回転している材料に櫛歯をちょっと当てて離すだけで、もうネジが切れていました。

轆轤のないキリタではダイスを使ってネジを切っていますが、ダイスを材料に噛ませて、それを回転させてネジを切り、逆回転させてダイスを抜くのは、櫛歯を当てるのに比べてかなり面倒な作業になります。

職人の加川に、轆轤があれば楽なんでしょうねと言ったら、もう長年これでやっているから苦にならないよと言っていました。(笑)

穴を空け、表面の形を作り込み、ネジを切ったら、後は表面をヤスリで整えて、バフで磨くと、ベークの本体部分が完成します。

kushiba
写真は「万年筆博士」より

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