ベークライトとペンについて その15
ベークライトとペンについて その15>
前回まででベークの素材やベークの削り方から万年筆の話へ脱線してしまっていたので、今回から話を戻して、そもそも最初にベークボールペンを作った時の話をしていきたいと思います。
下請けからの脱却を量ろうと夢見てキリタのオリジナルボールペンの品揃えを模索していた頃、数少ないラインナップに上げられていた候補の製品は、どれも真鍮製の、その頃桐平工業がメインで生産していたOEM製品の焼き直し品ばかりでした。
どうも同じような製品ばかりで面白くないと悩んでいた所、現場の技術責任者である加川課長が提案してくれた物が、このベークライトボールペンでした。
「品揃えが不足しているのならこんな物はどうだろうか。これなら材料も、かなり昔に買って残った物が相当あるし。ただし、これは1本1本削るから一度にたくさんは作れないけどな。」
そう言って見せてくれたのは、少し黒ずんだ焦げ茶のボディーで、先端金具が無く1本の棒から削り出したことの分かる、触った感触の柔らかい樹脂のボールペンでした。
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名入れボールペンの【ペン工房キリタ】